K5(けーご)の競輪、自転車談義

人生はそろそろ打鐘周回へ…

24年の競輪は楽しみが増えた 別府記念【G3】オランダ王国友好杯

「グランプリ前に出走する意図は?」

グランプリを控える松浦が出走したことで、多くの注目を集めたのである。

松浦にとっては決して珍しいことではない。この時期の地元広島記念に毎年出走しているので、毎回このような質問をされているような気がするが、今年は地元記念ではないから余計に注目が集まっていた。

松浦の答えは地元のバンクが使えない事と練習以上に競争で得られるものがあるとのことだったが、以前のインビューではケガや病気以外で欠場はなるべくしない。ということも答えていた。確かに負け戦などでも欠場はあまり見られない。プロ意識が高く、とてもファンや競輪想いであるなと毎年思うのである。

 

ただただ、落車だけはしないでほしい…

 

坂井洋 覚醒か

初日特選は現SSから松浦、守澤、新田の3名をはじめ、三谷、北津留、坂井、浅井とおもしろいメンバーが揃った。

SS陥落の2人とはいえ、恐ろしいスピードとパワーの北日本ラインは1番人気となる。

地元九州勢は北津留1人で単騎の戦いとなるが人気は上々、混戦が予想された。

レースは近畿がイン切り、打鐘からは新田が猛烈なカマシ。その仕掛けに合わせたの単騎の北津留。絶好3番手確保。と思いきや…

北津留はなぜか北日本も叩いて先頭へ、そしてなぜか新田も突っ張る…引いて番手確保でも良かったのでは?そんな暴走気味の2人を尻目に目にも止まらぬスピードであっさりと後方9番手から捲ったのは坂井洋であった。

坂井に何か火がついたような、別人のようなスピードで勝ったのは、同県で若い眞杉が競輪祭を制し、今年だけで2つのタイトルを獲ったということが関係しているのかもしれない。刺激になっていないわけがない。24年の坂井は一味違うかもしれない。

準決勝

二次予選もエンジンがついているかのような捲りを見せた坂井洋。優勝するんじゃ?と思われた準決勝でもバイクのようなスピードで今度はカマシたのだ。すると番手の守澤が千切れるという失態。援護を失った坂井は裸逃げとなり7着に沈み、敗退となった。

普段は別地区であるため遺恨が残りそうな負け方だ。守澤はインタビューで反省を口にしていたが、後に引かなければ良いのだが…

もう一方の準決勝では特選組の北津留が地元のエース?大塚健一郎を決勝へ導く先行を見せ、新田の捲りを不発にさせた。自身は敗れるものの大分勢唯一の勝ち上がりに場内からは歓声が起こっていた。

6年ぶりの地元記念の決勝進出に大塚健一郎は「今年1年間のやってきたことの答えが出る」とコメントした。近年はケガに苦しみ、思うような結果が出ておらず、さまざまな思いも駆け巡っただろう。この決勝に思いを爆発させ結果を出せるのか。と期待が集まっていたが…

まさかの…歓声から悲鳴に

松浦の予選は完璧と言って良いだろう、グランプリに刺客なしといったところ。松浦は準決勝、佐々木豪の後ろから番手まくりで決勝に勝ち上がったが決勝は佐々木が番手を志願?松浦自身が四国の間に入るのを嫌ったか?なんと自力でとコメントを出したのである。決勝のメンバーは大塚を筆頭に三谷、浅井、守澤、内藤と落車回数の多いメンバーが揃っているので落車回避の自力か。なんて声や、佐々木の記念制覇に逃げる?いや、SSたるもの誰かの為に駆けるなんて…という声も。

結果はどうであれグランプリ前に落車だけはしないでほしい。競輪ファンの多くはこう願った…が…

 

 

最終2センターで競輪ファンの願いは崩れた。大塚のブロックにあった松浦はバランスを崩し落車してしまったのである…

 

もちろん大塚もわざとではない。大塚も地元記念に賭ける強い想いがあったのは確かだ。1年間やってきたことの答えが皮肉にも横の大きな動きで落車を誘発し、2人を落車させ失格という。いかにも大塚らしいという皮肉で終わってしまった。

松浦は棄権するも自ら立ち上がり、ファンに”大丈夫”という仕草を見せ、レース後のインタビューでも擦過傷のみで影響はない。というコメントを出したが、どんな落車でもダメージがあるものだ。ただ、グランプリに向けては雲行きが怪しい。非常に…

赤パンとして有終の美

今年で一度赤パンを脱ぐことが決まっている守澤は来年は自力で戦うことを宣言していて、ここでも別地区ながら内藤を後ろにつけ自力を宣言。

守澤の自力は可能性しかないのだ。よく切り替え後の守澤の自力発動はとてつもないダッシュ力に加え、中割りなどコースをこじ開けていくという姿を度々目にするのである。未知数なのは捲りや自在性と思っていた矢先、見せてくれました。

自ら動き、イン切りし、さらに後方から来た九州勢に飛びつき、3番手を確保し最終バックから捲りでて見事優勝したのです。守澤は一昨年の別府記念に続き2連覇となった。

 

 

今年は全日本選抜で2着、ダービーではゴールデンレーサー賞をとるなど幸先の良いスタートを切ったが、準決勝で落車し首の骨を骨折、復帰後の宮杯、オールスターで落車するという不運が重なり、SS陥落という結果は非常に無念であっただろう。

本人は「もうSS、赤パンはいいです、期待しないでください。」と笑うが、ファンとしては新しい楽しみが増え、期待もせざるを得ないだろう。

目標不在時、互いに別線を選択してきた同地区の守澤と佐藤慎太郎はラインを組む可能性が出てきた。

守澤ー佐藤慎太郎ラインなんてこのレースを見た後なら楽しみでしかない。