K5(けーご)の競輪、自転車談義

人生はそろそろ打鐘周回へ…

正真正銘の証。二つ目のタイトル獲得。第65回 競輪祭

毎年のことながらこの時期は様々の想いが交錯する。

S級S班に昇格を決め喜びを表す一方で、降格が決まり寂しい思いをするのもこの競輪祭である。

年末のKEIRINグランプリが控えているとはいえ、多くの選手たちの戦いは、この競輪祭で一旦終わりを迎えるのだ。

 

関東の新時代、いや競輪界の新時代を築く24歳の証明

眞杉は今年、西武園で行われたG1オールスターで優勝をし、若きタイトルホルダーとしてグランプリ出場とS級S班を確定していたが、それは納得のできる勝利ではなかった。

地元地区開催、吉田拓矢の死に駆けに乗り、後ろ三番手はSS班の平原が固めるという贅沢な布陣、多くの有力どころも大量落車による欠場も重なったが、別線を寄せ付けず番手まくりで優勝。吉田の失格もあり、眞杉の優勝は波紋を呼んだ。

 

本人には悔しい気持ちや、どこかもどかしい部分もあったのではないだろうか?

 

そんな中、迎えた競輪祭では自力で順調に勝ち上がるも、ダイヤモンドレースと決勝は単騎となってしまう…

しかし、今回はこの単騎が眞杉とってはとても良い方向に向いたのだ。

眞杉のために駆けてくれる先行選手もいない、決勝では後ろを守ってくれる選手すらいなかった。競輪祭では大きな落車もなく有力どころが欠場ということもなかった。

自力で勝ち上がり、決勝を単騎で走り、見事優勝したことでオールスターでの風評を一気に吹き飛ばしたのである。

オールスターからわずか3ヶ月。同一年でG1を二つ制覇し、自ら”強さ”を証明し、観衆を黙らしたのである。かっこよい…かっこ良すぎるぞ。

 

眞杉はまだ24歳である。間違いなく関東、いや競輪界の新時代が始まった。

 

眞杉の強さが見えたシーン

二次予選シード権を獲得しダイヤモンドレースを迎えた眞杉はなんとグランプリでの単騎も想定してこのダイヤモンドレースに挑んだという。

24歳にして初のグランプリを単騎で戦うということに一切、気持ちで負けていなかったのである。眞杉のこの気持ちの強さはレースを見ていてもわかる。

準決勝では郡司に煽られ、古性に頭突きをくらうも怯む様子はなく、コースを譲ることなく郡司と古性を準決勝敗退に追い込んだ。

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決勝でも最終3コーナーで太田を止め、直線では松井に頭突きをかますほどだ。他のレースでも眞杉の気持ちの強さが出ているレースはたくさんある。

 

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気持ちの強さはこれからの追われる立場では、さらに活きてくるだろう。そんな眞杉に今後も注目だ。

 

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S級S班の昇降格

山口拳矢

来年のS班で1番の心配な選手である。

まず山口拳矢自体の状態である。ダービー以降これといった活躍がない。オールスターの落車で拍車がかかりオールスター以降は記念も勝ち上がることはなく、競輪祭では予選ですら見せ場を作ることはなかった。

さらに深刻なのは地区としても山口拳矢を支える選手がいない。浅井なのか…

こんな心配を払拭するような活躍を期待しよう。

清水裕

実力十分。エンターテイナーとしても抜群である。エンターテイナーというと佐藤慎太郎のようなファンサービスやトークなんかが思いつくが清水は一味違う。

走り自体がエンターテイメントなのだ。清水の果敢に攻める姿は見せ場を作り、見ている人々を魅了するのだ。来年はかつてゴールデンコンビと呼ばれた松浦と共に中国ラインを牽引する。清水がS班 返り咲きによりこの地区に今の所、弱点が見つからない。

松浦清水は互いに前後できる上に太田海也、鳥取、町田という先行選手もいる。中四国となれば犬伏もいるのだ。まさに最強軍団だ。

深谷知広

6年ぶりにS班へ戻ってきた。自力で地区のために駆けることが多かった深谷

しかし、今年は少し変わった姿が見ることができた。”番手の深谷”が非常に良かったのだ。本人もそういう練習を取り入れているとコメントしているように非常に番手での活躍が目立った。同時に静岡の若手も急成長しているのだ。深谷の効果かどうかは定かではないが、静岡からS班誕生は静岡にとっては刺激になるのは間違い無いだろう。競輪祭大活躍の簗田もさらなる活躍があるだろう。

守澤太志

今年もタイトル取れず、ついに陥落となってしまった。年齢的にも厳しい状況であるがこれだけの選手なのでタイトル獲得とSS返り咲きに期待。

来年は自力としても走るようなコメントもしていたので新規一転。何かきっかけや得られるものがあれば良い。中野や大川と注目の若手もいるし、SS新山の先行は来年も継続なのでチャンスがないわけではない。

新田祐大

記念を2つとり、競輪祭ではダイヤモンドレースを勝利するなど活躍をみせたが、若手の勢いと大舞台での敗退が響いてしまった。

年齢的にもそろそろ後ろを回る機会が今年以上に増えそうだ。番手の動き、働きを習得できるかがカギ。同県に競輪界を代表する名番手の佐藤慎太郎と成田和也の手ほどきを受け、どこまでやれるか。新田の動き次第では北日本の有望先行選手の未来に関わってくる。

郡司浩平

記念4つ優勝とコンスタントに活躍をしていただけにSS陥落は意外である。

確かに落車やアクシデントに見舞われたがSS陥落の原因はそこではない気がする。

テーマは番手だろう、郡司の性格なのだろうか、前を残すことを考えすぎるがあまりに自分が負けてしまうことが多々あった。競輪祭の準決勝でもそうだろう。

自力で後ろを残すことに自分のタイミングで駆けている方が成績良いのである。来年は郡司–深谷が多くなることで南関が最強になる可能性も。

平原康多の思いは…受け継がれる関東の絆

今年はとくに寂しい思いをしたファンも多くいたのでないだろうか。

SSを10年守った平原の陥落…

ケガに泣かされた1年であった。度重なる落車、長引くケガ。10年守ったSSという称号に赤いパンツが今年は十字架となり平原を苦しめた。

20年の四日市記念で平原率いる関東ラインに着いた当落上にいた佐藤慎太郎が優勝した際に平原は「これでグランプリ見えましたね」と声をかけた。

昨年の競輪祭後の当落上にいた清水が落ちたことについてコメントを求められた平原はこう言った「またSSに戻って来れば良い、彼は強い選手ですから」と残した。

心身ともに一流レーサーである平原は10年という長きにわたってSSを守り、関東も守ってきた。今年自分の成績が振るわず陥落という危機に直面したものの冷静だった。

眞杉匠という強い選手をSS 9人の中に送り込んだのだ。間違いなく平原の影響はあるだろうし、来年以降SSではなくなるものの眞杉の近くに平原がいるということ、一流レーサーたるものの手ほどきを受けられるのは眞杉にとってもこんなに心強いことはない。

 

そして平原に一言

またSSに戻って来れば良い、あなたは強い選手なんだから