K5(けーご)の競輪、自転車談義

人生はそろそろ打鐘周回へ…

正真正銘の証。二つ目のタイトル獲得。第65回 競輪祭

毎年のことながらこの時期は様々の想いが交錯する。

S級S班に昇格を決め喜びを表す一方で、降格が決まり寂しい思いをするのもこの競輪祭である。

年末のKEIRINグランプリが控えているとはいえ、多くの選手たちの戦いは、この競輪祭で一旦終わりを迎えるのだ。

 

関東の新時代、いや競輪界の新時代を築く24歳の証明

眞杉は今年、西武園で行われたG1オールスターで優勝をし、若きタイトルホルダーとしてグランプリ出場とS級S班を確定していたが、それは納得のできる勝利ではなかった。

地元地区開催、吉田拓矢の死に駆けに乗り、後ろ三番手はSS班の平原が固めるという贅沢な布陣、多くの有力どころも大量落車による欠場も重なったが、別線を寄せ付けず番手まくりで優勝。吉田の失格もあり、眞杉の優勝は波紋を呼んだ。

 

本人には悔しい気持ちや、どこかもどかしい部分もあったのではないだろうか?

 

そんな中、迎えた競輪祭では自力で順調に勝ち上がるも、ダイヤモンドレースと決勝は単騎となってしまう…

しかし、今回はこの単騎が眞杉とってはとても良い方向に向いたのだ。

眞杉のために駆けてくれる先行選手もいない、決勝では後ろを守ってくれる選手すらいなかった。競輪祭では大きな落車もなく有力どころが欠場ということもなかった。

自力で勝ち上がり、決勝を単騎で走り、見事優勝したことでオールスターでの風評を一気に吹き飛ばしたのである。

オールスターからわずか3ヶ月。同一年でG1を二つ制覇し、自ら”強さ”を証明し、観衆を黙らしたのである。かっこよい…かっこ良すぎるぞ。

 

眞杉はまだ24歳である。間違いなく関東、いや競輪界の新時代が始まった。

 

眞杉の強さが見えたシーン

二次予選シード権を獲得しダイヤモンドレースを迎えた眞杉はなんとグランプリでの単騎も想定してこのダイヤモンドレースに挑んだという。

24歳にして初のグランプリを単騎で戦うということに一切、気持ちで負けていなかったのである。眞杉のこの気持ちの強さはレースを見ていてもわかる。

準決勝では郡司に煽られ、古性に頭突きをくらうも怯む様子はなく、コースを譲ることなく郡司と古性を準決勝敗退に追い込んだ。

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決勝でも最終3コーナーで太田を止め、直線では松井に頭突きをかますほどだ。他のレースでも眞杉の気持ちの強さが出ているレースはたくさんある。

 

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気持ちの強さはこれからの追われる立場では、さらに活きてくるだろう。そんな眞杉に今後も注目だ。

 

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S級S班の昇降格

山口拳矢

来年のS班で1番の心配な選手である。

まず山口拳矢自体の状態である。ダービー以降これといった活躍がない。オールスターの落車で拍車がかかりオールスター以降は記念も勝ち上がることはなく、競輪祭では予選ですら見せ場を作ることはなかった。

さらに深刻なのは地区としても山口拳矢を支える選手がいない。浅井なのか…

こんな心配を払拭するような活躍を期待しよう。

清水裕

実力十分。エンターテイナーとしても抜群である。エンターテイナーというと佐藤慎太郎のようなファンサービスやトークなんかが思いつくが清水は一味違う。

走り自体がエンターテイメントなのだ。清水の果敢に攻める姿は見せ場を作り、見ている人々を魅了するのだ。来年はかつてゴールデンコンビと呼ばれた松浦と共に中国ラインを牽引する。清水がS班 返り咲きによりこの地区に今の所、弱点が見つからない。

松浦清水は互いに前後できる上に太田海也、鳥取、町田という先行選手もいる。中四国となれば犬伏もいるのだ。まさに最強軍団だ。

深谷知広

6年ぶりにS班へ戻ってきた。自力で地区のために駆けることが多かった深谷

しかし、今年は少し変わった姿が見ることができた。”番手の深谷”が非常に良かったのだ。本人もそういう練習を取り入れているとコメントしているように非常に番手での活躍が目立った。同時に静岡の若手も急成長しているのだ。深谷の効果かどうかは定かではないが、静岡からS班誕生は静岡にとっては刺激になるのは間違い無いだろう。競輪祭大活躍の簗田もさらなる活躍があるだろう。

守澤太志

今年もタイトル取れず、ついに陥落となってしまった。年齢的にも厳しい状況であるがこれだけの選手なのでタイトル獲得とSS返り咲きに期待。

来年は自力としても走るようなコメントもしていたので新規一転。何かきっかけや得られるものがあれば良い。中野や大川と注目の若手もいるし、SS新山の先行は来年も継続なのでチャンスがないわけではない。

新田祐大

記念を2つとり、競輪祭ではダイヤモンドレースを勝利するなど活躍をみせたが、若手の勢いと大舞台での敗退が響いてしまった。

年齢的にもそろそろ後ろを回る機会が今年以上に増えそうだ。番手の動き、働きを習得できるかがカギ。同県に競輪界を代表する名番手の佐藤慎太郎と成田和也の手ほどきを受け、どこまでやれるか。新田の動き次第では北日本の有望先行選手の未来に関わってくる。

郡司浩平

記念4つ優勝とコンスタントに活躍をしていただけにSS陥落は意外である。

確かに落車やアクシデントに見舞われたがSS陥落の原因はそこではない気がする。

テーマは番手だろう、郡司の性格なのだろうか、前を残すことを考えすぎるがあまりに自分が負けてしまうことが多々あった。競輪祭の準決勝でもそうだろう。

自力で後ろを残すことに自分のタイミングで駆けている方が成績良いのである。来年は郡司–深谷が多くなることで南関が最強になる可能性も。

平原康多の思いは…受け継がれる関東の絆

今年はとくに寂しい思いをしたファンも多くいたのでないだろうか。

SSを10年守った平原の陥落…

ケガに泣かされた1年であった。度重なる落車、長引くケガ。10年守ったSSという称号に赤いパンツが今年は十字架となり平原を苦しめた。

20年の四日市記念で平原率いる関東ラインに着いた当落上にいた佐藤慎太郎が優勝した際に平原は「これでグランプリ見えましたね」と声をかけた。

昨年の競輪祭後の当落上にいた清水が落ちたことについてコメントを求められた平原はこう言った「またSSに戻って来れば良い、彼は強い選手ですから」と残した。

心身ともに一流レーサーである平原は10年という長きにわたってSSを守り、関東も守ってきた。今年自分の成績が振るわず陥落という危機に直面したものの冷静だった。

眞杉匠という強い選手をSS 9人の中に送り込んだのだ。間違いなく平原の影響はあるだろうし、来年以降SSではなくなるものの眞杉の近くに平原がいるということ、一流レーサーたるものの手ほどきを受けられるのは眞杉にとってもこんなに心強いことはない。

 

そして平原に一言

またSSに戻って来れば良い、あなたは強い選手なんだから

第一回女子王座戦 負けるはずのない佐藤水菜

女子王座戦”初代”女王の称号をかけた熱き戦いは競輪場を飛び出してネットを中心に波紋を呼んだ。

ガールズに限らず男子競輪にもレース後に各々の持論を展開して議論することはたくさんあるし、他のスポーツや他の公営競技にもあるだろう。

選手が増え、G1が新設され、人気がでた一つの証拠なので良いことだ。と言い切るには早いのかもしれないが決して悪いことではない。

プロ野球やサッカーにももちろんあるし、試合後の球場やスタジアム近くの居酒屋にはそういった人たちが多くいる。競輪はギャンブルだから博打だからという人もいるが、野球やサッカーだってお金を払って観戦しているし、サッカーにはtotoサッカーくじなるものまであるのだから、そこまで変わらないと思う。

要するに競輪ファンのマナーやモラルの問題だと思う。悲しいがそういうこと。

問題のシーン

ゴール直後に優勝した梅川に対して肩に手を置き勝利を称えたのである。

これが問題になったのだ。

佐藤と梅川はナショナルチームに所属していてトラックチームでもチーム楽天Kドリームスで一緒の同士なのだ。

ガールズにラインは存在せず、協力して走ることはルール上あってはならないのだが、佐藤が前受けから番手に着く梅川を引いたのではないかと推測されている。つまり梅川を勝たせたのではないか?と思われ、これが波紋を呼んでいるのだ。

もしラインを組んでいるとするならば、他の選手は周回中にいつもやる位置取り争いをして分断を狙うなり、梅川を下げさせ前に入るなり、フタする作戦だってとれたはずだがそれは見られなかった。

負けるはずのない佐藤水菜

佐藤の人気は集中し1番人気。三連単は12番人気まで1着佐藤水菜であった。

観衆の勝手な負けるはずのない佐藤水菜が番手にいた梅川に差されたからである。

確認として梅川も世界を相手に戦うナショナルチーム所属の競争得点58点台のレーサーである。位置絶好の番手から佐藤を差すなんてごく自然なことである。

佐藤がゴール前、脚をゆるめたんだ。なんて幼稚なヤジもあったが冷静に見てみてほしい。1センターから仕掛けていて上がりタイムは3日間で1番早いタイムである、ゆるめたように見えた人の為に言っておくと、ゆるめたのではなくタレたのが正解ではないだろうか。

そして問題の肩に手を置き、梅川を称えたシーンにラインを組んでいたんだ。誤解を招くことはするな。との声もあがった。

一緒にレースを戦った相手を、勝った相手を称えて何が悪かったのか。他のスポーツでもよくある。同じ公営競技の競馬などでも見られるシーンである。ノーサイドという言葉を知らないのだろうか…入場前の敢闘門でやっていたら問題かもしれない。勝負の後に互いの健闘を称えるなんて素晴らしいことではないか。なぜ観衆はこれを受け入れられないのだろうか。これを許さないなんて、こんな悲しい世界はないと思う。

同じようなタイミングで柳原真緒も祝福している。

 

 

それは佐藤水菜が負けたから。強すぎるが故の問題なのか…

観衆が作り出した勝手な佐藤水菜。

 

負けるはずのない佐藤水菜…

 

車券購入以外にも競輪の為にできることはある

競技が違くて単純な比較はできないが”公営競技”なんだ。”ギャンブル”なんだ。という声が少なくないので同じ公営競技でありギャンブルである競馬と比較させてもらう。確かに競輪(自転車の競技側面)には後ろが有利という背景はもちろんあるということを前置きして、競馬にはこんなシーンをよくみる。そして競馬ファンはその姿を賞賛することが多い。素晴らしいではないか。

 

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悲しいが、もう一度いう。この違いは競輪ファンのマナーやモラルの問題だ。

競輪という素晴らしい競技がもっとたくさんの人に知られ、認められるにはファンの人のマナーやモラルは必要不可欠である。

 

初代女王 梅川風子 誕生

レースは佐藤水菜を終始マーク、佐藤の仕掛けに合わせ、最後差し切るシリーズ通して強いレースを見せた梅川が優勝。

 

強敵揃いのG1開催、誰が勝ってもおかしくない状況ではあるものの、連日ビッグネームが姿を消した…

女王児玉碧衣の敗退

地元の期待もある中でスタート。最終バックで踏むも車がいつものように進まない。

まさかの6着…初日から波乱が起きた。

翌日の負け戦でも2着。競争感覚がおよそ40日も空いたの原因と本人はコメントしていた。それでも原因がわかっているのはポジティブ材料である。グランプリでの巻き返し

女王奪還に期待したいところだ。

久米詩も敗退

準決勝では賞金トップで優勝候補である久米も敗退した。児玉とは対照的でコメントなどからは不調の原因がわからなかった。ナショナル組とは違い、国内戦線からジャパントラックカップに参戦していた疲労もあるのだろうか?本人の中で原因がはっきりしていれば良いのだが…グランプリに向けて少々心配である。

 

ガールズケイリングランプリ出走予定選手

ガールズケイリンG1の初代女王が3者出揃いました。

パールカップ 児玉碧衣

オールガールズクラシック 佐藤水菜

女子王座戦 梅川風子

この3人を筆頭に年末にガールズグランプリが行われます。

 

佐藤水菜

児玉碧衣

梅川風子

久米詩

尾方真生

吉川美穂

坂口楓華

 

グランプリということもあり、今回同様すんなり終えるとも思えませんが、その時はまた。

 

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自力若手の台頭【大垣記念G3】 寝坊から考える車券購入の鉄則

毎年この時期の開催は裏記念とよばれ、玄人しか買わないと言われている記念だ。

年間で最後のG1 競輪祭を控える為、GPが確定している選手や熾烈な賞金争いの渦中にいる選手はコンディショニングやピーキングを行う。

その為、SS不在どころか、有力なS1選手も少ないのです。それでもレース内外で見所があった裏開催でした。

それでも初日特選に選ばれた有力レーサーの中では世界銀メダリストで寛仁親王牌のファイナリストの河端や22年のヤンググランプリ王者菊池を筆頭に、成長目覚ましい松岡辰泰、志田龍星、青野将大などが選ばれた。

河端朋之

単騎から最終ストレートで素晴らしい末脚を見せた河端、シリーズの主役になるかと思ったが二次予選で大敗を喫し、早々に消えてしまった…負け戦でも見せ場なく。良い人すぎるのか、後ろを背負うとあまり良い走りができず、単騎のが良い走りをする河端である。

菊池岳仁

菊池は初日こそ9着だったが二日目につっぱり先行から2周先頭譲らず1着。強い勝ち方を見せた。好調そのままに準決勝では山雅を決勝に乗せる先行も自身は8着と敗退。結果的に山雅が優勝しているのでこの先行は活きた。シリーズ通しての敢闘は菊池と言っても良いのでは。

しかし、昨年ヤンググランプリ王者で裏開催だったので優勝を狙う走りをしても良かったのでは?とも。調子が良かっただけに少し勿体無いような気もする。イメージだが関東所属となると今後の記念でもなかなかラインに恵まれないような気もするが…

松岡辰泰

初日特選は中近勢と北日本勢のやりあったスキを冷静につき、さらには松村を裁くなどの動きも見せ、熊本勢でワンツーを決めた。

二次予選も1着、九州勢で決まりそうな雰囲気も一転、準決勝で敗退してしまった。

近年、元気のない九州勢を引っ張る若手は嘉永となっているが、さすがに嘉永だけでは太刀打ちできない。冷静なレースができ技術もある松岡がもう頭一つ出てくると九州に幅が広がるだろう。

志田龍星

初日特選メンバー相手に2周先行し4着に残るなどして、好調を見せた志田。準決勝では8番手最終ホームからカマシ、外を回され続けるもバックで先頭に立つ。最後は交わされるも強い姿を見せた。

地元の期待を背負い決勝でもカマシたが力及ばず…中部は選手層が薄く番手が松村という即席ラインというのも原因だろう。

中部が育つには全体的な底上げ、またはマンパワーのある若手の台頭などの起爆剤があれば良いのだが…

青野将大

直近4ヶ月でバック回数17回と素晴らしい成績の青野もこういった裏開催で結果を出すのはとても重要である。

普段レースでは漢気あふれる走りからファンも多くいるが、その点、大きな大会では自己犠牲を伴っていることが多く、実力と結果が伴っていないのも事実だ。

順調に勝ち上がり、決勝へと駒を進めた青野。決勝には南関が3人勝ち上がり、当然先頭は青野だ。打鐘から先頭に出てホームでは志田と少し踏み合うもすかさず引いて番手確保。

位置絶好!と思いきや、かなり早い仕掛けで先頭に立つとゴール前、番手の山雅に差され2着…

あと少し、ほんの少しだけ仕掛けを遅らせたら勝ったのは青野だろう。後ろの山雅とのゴール勝負を選んだ青野、どこまでも仲間思いの青野であった。

勝負の世界は結果が全てという人もいる。これが青野の弱さでもあるのかもしれない。時には、とくに勝負時には非情さも必要になる。今、青野に足りないのは非情さなのかもしれない。いや、青野の問題にするのはあまりにも軽薄だ。南関の先輩たち、マーク屋こそここに注目すべきではないだろうか?南関こそ非情になってはいけない。

深谷と一緒に走ってほしい…

若手の活躍多き大垣記念

シリーズ通して、若手の斡旋が多い開催だったが、若手自力選手の良いところが見えた良い開催であった。

 

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開催中に珍事件?

大垣記念開催中に珍事件というべきかどうかわからないが、車券購入に関わる前例ができてしまった。

ケガや病気ではなく内輪揉めによる連携解除です。今までも揉め事や好き嫌いで連携しないということは少なからずあった。

今回、問題だったのは発走直前だったということです。

事件は発走直前1時間前

前日には北日本3車結束で。小笠原光–佐藤友和–川津悠揮とコメントを出していたにもか関わらず、佐藤友和が発走約1時間前に公式に連携解除を申し出たというのだ。

場内放送やCS放送でも注意をした。当たり前だが返金はない。

レースは佐藤は2着に入るも小笠原が終始最後方にとどまり8着…

原因

原因は小笠原が寝坊してアップの時間に来なかったということだが、普段から許し難いことが多々あったようだが…真相はいかに。小笠原側からはすみませんという謝罪の投稿はあったもののコメントはなど見つかっていない。

師弟関係をも解除

2人は師弟関係であったが、数日後のKEIRIN.jpのお互いの紹介の師弟欄からお互いの名前が消えていた…

コメント・並びの重要性

今回なぜこのようなことが事件とされているのか。

それは競輪においてコメントや並びほど重要なものはないからに他なりません。競輪はライン戦であるため、個人の力よりラインの関係性、相性をもとにラインの力を測ります。作戦や展開予想もラインありきです。

並びやコメントは前日から発表され、それをもとに前日から車券購入もできるわけですが、今回のように直前にこういった発表があるとレース全てが変わるわけです。今回の連携解除は北日本であったが、このレースに出走する全ての選手と全てのラインに影響があるのです。連携解除前に車券購入してはずした人は納得いかないでしょう。

あくまで並び予想

そもそもラインというもの自体は正式に決まっているものでもない。競輪はあくまでも個人戦ということと、並びのまま走らなくてはいけないというルールもない。出走表を見ると並びが必ずと言っていいほど載っているが目を凝らして見てみると”並び予想”と書いてある。そう、並びですら予想なんです。

並びを壊す方法として競りと言う戦線布告もあるが、昨年のグランプリで見せた松浦の奇襲とも言える競だってある。競りと戦線布告しときながら競らない選手だっている。

コメントは伝え方や切り取り方に気を付ける

コメントと走りが違うなんてよくある。

なんて言うと身も蓋もないし、競輪はすぐ八百長だなんだという騒ぎになってしまう。これは決して嘘をついているわけではないだろう。記者、メディアと我々ファンのすれ違いによって起こることでしょう。コメント欄を見てみるととてもスペースが小さく限られているのである。最低限の文字で伝えようとすると勘違いで伝わってしまうことが多いのです。

※これに関しては改善できる部分でもあるし、ネット出走表であれば改善はすぐ行えるはずなので実施してもらいたい。

コメントは選手の口から出たもの(映像として確認できるもの)が一番信用性が高いでしょう。

選手の中にはコメントの残し方やメディアの中にも書き方や載せ方に問題があるケースもあります。

選手のSNSなどフォローして普段の様子を見ておくことや、自分に合うメディアを探すのもひとつ対策になるでしょう。コメントを多く長く掲載しているメディアもあります。

 

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トラック日本代表の秘密兵器、いよいよ解禁か

2023年トラック世界選手権で佐藤水菜と内野艶和が使用したバイクが話題になっていたのは記憶に新しい。

独特な形状のフロントフォーク、シートステイ、何より一番に目につくのはドライブトレインが左側についているのです。

※ドライブトレイン(駆動系パーツのこと。クランク、ギア、チェーン)

バイクを見てもブランド名やバイク名はなくカーボン色の黒塗りで纏われている、いかにも謎のバイク感、秘密兵器感がありました。

 

内野艶和 選手

 

日本代表の秘密兵器とも言える新型バイクは巷で騒ついていたが、どこのメディアも報道しなかった。しかしここにきて少しずつ詳細が明るみになってきたのです。

 

V-IZU TCM

その名もV-IZU TCMと呼ぶ。

トラック日本代表の本拠地である静岡県伊豆市の名がつけられていて、Vはおそらく勝利を意味するビクトリーのVではないだろうか。

TCMは製造に関わっている「東レ・カーボンマジック株式会社」の名ではないだろうか。

V-IZU TCM 1

V-IZU TCM 2

TCM1とTCM2と2モデル発表されている。

ハンドルや特徴的であるフロントフォーク、シートステイの形状がそれぞれ違う。

 

V-IZU TCM1

ハンドルは従来の形状に限りなく近い、または同等のものである。フロントフォークやシートステイも2と比較するとそこまで横幅のクリアランスはない。

ケイリンやスプリントなどで使用が予想。短距離モデルと予想

V-IZU TCM2

ハンドルは上部にもポジショニングできるようになっていることと、フロントフォークとシートステイに大幅なクリアランスが設けてある。短距離より空気抵抗の蓄積が顕著であるスクラッチエリミネーションなどの中長距離モデルと予想。

 

www.synergy-planning.com

イオニアは英国のLOTUSとHOPE

実はV-IZUより先にこの革新的な形状を取り入れた国とブランドがあるのです。

イギリスの自動車メーカーLOTUSと自転車コンポーネントメーカーのHOPEが協力してできたHB.Tというバイク。

 

2021年に開催された東京オリンピックで既に実戦投入されていて、ここから各国、各メーカーがこぞって研究、開発に着手したのである。日本もそのうちの一つだ。

フロントフォーク シートステイ

従来の空気抵抗削減の常識は”低く、細く”であったのに対し、見てわかる通り大幅なクリアランスを設け横幅な設計になっているのである。

選手の脚は常に動いているので、脚周りには常に空気の乱れが発生していて、これが大きな空気抵抗を生んでいます。この空気抵抗を横幅なフロントフォークとシートステイに空気を整流するそう。

従来はバイクのみのエアロダイナミクスで設計されていることが多かったのに対し、乗車している選手込みのトータルエアロダイナミクスで設計されているのです。

左側についたドライブトレイン

トラック競技では左周回なので外側(つまり自転車右側)の空気抵抗が大きくなるわけです。この空気抵抗を低減するためにドライブトレインを左側につけたとみられています。しかしメリットだけではなく左側につけるデメリットももちろんあるわけですが、これに関してはまだわかっておらず、他社で左側についているところはありません。

東レカーボンマジック社

これだけの大胆かつ大幅な仕様の変更についてはしっかりと専門的な実験や解析を繰り返してたどり着いた答えの一つだといいます。

東レ・カーボンマジック社の前身は童夢カーボンマジックという会社であり、レーシングスポーツ界隈では有名でした。

世界のカーボン市場70%は日本

東レの100%子会社化になり更なる研究を開始したわけですが、親会社である東レはカーボンの世界シェア40%越え、日本ということになるとそのシェアは70%にまでのぼります。材料となるカーボンを試せるというだけで各国に比べ大きなアドバンテージと言って良いでしょう。

童夢時代に培ったレーシングスポーツのノウハウをもとにカーボンの成形技術とエアロダイナミクスを活用さし、パリオリンピック2024に向けてトラック日本代表にも東レ・カーボンマジックが選ばれたという訳です。

www.carbonmagic.com 

JKAの補助事業

とはいえ研究開発には莫大な資金が必要なわけであり、資金があればあるだけより良い開発ができるというものです。会社案内を見ると東レ・カーボンマジックは公益財団法人JKAからの補助を受け、世界一を目指すトラックバイクを開発しております。とある。金額にして約1億3500万円。我々競輪ファンのハズレ車券はハズレではないのです!!

自転車の難しさ

東レ・カーボンマジックの技術を活かしたフレームがすごいことは十分に伝わったが、気になることもある。

”自転車”としてどうなのかということだ。データ上で良い数値が出たからといって必ずしも選手の力を最大限引き出せるわけでもない。レーシングスポーツと違い、エンジンがヒトであるからだ。ここが自転車の奥深さでもある。

自転車製造の歴史が浅い分、選手からのフィードバック数の蓄積が少ないのが東レ・カーボンマジック懸念点ではないだろうか。選手ファーストであってほしい。

TOKYO2020ではブリヂストン社製

気になるのは11月開催のジャパントラックカップでは佐藤水菜も内野艶和もブリヂストンを使用していた。ナショナルチームとしての出場ではないからかもしれない。そこまで気にすることではないと言えばそうなのかもしれないが、ブリヂストンには選手と共に自転車づくりをしてきた歴史があり、2021年の東京オリンピックではブリヂストンがトラックバイク開発した経緯がある。

ブリヂストンは独自の解析システム PROFORMAT を使用し、自転車に取り付けたセンサーで、自転車の挙動などの様々なデータを収集します。そして、それをもとに自転車の走行シミュレーションを行い、より推進力を発揮する自転車の設計要素を導き出しました。

またプロサイクルチームを所有していることもあり、選手からのフィードバックを一番に聞けるのも強みであった。

沈黙のスペシャライズド

各国、各社がこぞってイギリスの後追い、開発を進めているのに対し、世界のスペシャライズドがトラックバイクには何も情報がないのが気になるところである。考えられる理由はいくつかあるが。

アメリカではトラック競技よりMTBグラベル系が盛んであるということやスペシャライズドはトラックバイクよりロードバイクの研究や開発に余念がなく、毎年のように新型発表してくる勢いである。

考えられるのはTTバイクとしてV-IZUのようなフロントフォークやシートステイを参考にしてくる可能性は十分にあるので注目しておこう。

自転車王国日本は世界制覇できる

世界のスペシャライズドに引けを取らない日本の開発力。我が国日本は自転車製造として世界で他を寄せ付けないほどのトップ企業がいくつもあるのです。シマノブリヂストン東レなど。日本を代表する企業が力を合わせれば世界を席巻できるようなバイクを作れるはずだ。

以前、日本の東洋フレームがあのスペシャライズドのフレームを製造していた歴史があり、スペシャライズドはメイドインジャパンだった時代があるくらい。

日本は自国を卑下することが多いですが、ここはあえて言わせてもらうと世界で1番良い自転車を作れる国は日本なのです。

オリンピックは選手だけの戦いではなく、その国を代表するような企業の技術や研究の成果が見える大会でもあります。

V-IZUはその一つであり、パリオリンピックを確実におもしろくしてくれる要素の一つでしょう。日本の世界一はすぐそこまで来ている。

 

見どころ 第1回女子王座戦【G1】

今年から新設されたガールズケイリンのG1 3つのうちの最終戦『第1回 女子王座戦』が開催される。当たり前だが今年のG1勝者には”初代女王”の称号が与えられる。

パールカップ初代女王は 児玉碧衣

オールガールズクラシック初代女王は 佐藤水菜

女子王座戦初代女王”は誰の手に。

女子王座

競輪祭と同時開催となり開催日程としては11月21日〜23日の3日間で行われます。

初日から最終日まで4レース開催。

初日のみ9R〜12Rで行われ、準決勝と決勝は二日目三日目の11R、12Rで行われます。

小倉競輪場の特徴

小倉競輪場の特徴については競輪祭の見どころに書いてあるのでそちらを参照

k5keirin.com

勝ち上がり方式

ガールズですがポイント制を採用しておらず、初日からミスが許されない厳しい勝ち上がり条件となっています。波乱の予感。

 

予選 3位までの12名と4位の2名 → 準決勝

準決勝 3位までの6名と4位の1名 → 決勝

 

注目選手

児玉碧衣と佐藤水菜が注目選手なのは間違いないので後に2人のこれまでの戦績と共に関係性について振り返っていきたい。

太田りゆ

別府コレクションは3着、西武園コレクションでは2着と未だタイトルがない太田だが、近年、着実に力をつけてきており西武園コレクションでは児玉を強襲惜しくもタイヤ差で敗れた。実力十分なのでそろそろタイトルがほしいところ。本人が一番思っていることではないだろうか。

久米詩

成長目覚ましい久米、児玉不在だったとはいえ、今年の平塚コレクションを制し、初タイトル。パールカップ2着、オールガールズクラシック3着と安定感抜群である。さらに最近はナショナルチームとの練習を行いナショナル入りも噂されているほどの実力を持っている。

飯田風音

こちらも成長目覚ましい期待の120期。飯田である。

今年9月に坂口風華、石井寛子、山原さくら、11月に柳原真緒、奥井迪と名だたるビッグネームに勝っているのです。女子王座戦でどこまで行けるか注目。勝利して一気にグランプリ出場なんてことも。

児玉碧衣と佐藤水菜

2人に関しては説明不要なくらい注目選手であること間違いない。

昨年の競輪祭からの2人の戦績を見てみると面白いほど似通っているのだ。

 

22年11月 競輪祭 児玉 佐藤 共に優勝

12月 GGP 児玉 佐藤 共に落車

23年3月 別府コレクション 優勝 佐藤

6月 パールカップ【G1】優勝 児玉

8月 西武園コレクション 優勝 児玉

10月 オールガールズクラシック【G1】優勝 佐藤

 

佐藤は世界、児玉は国内と主戦場は違うが、結果を見ても実力が拮抗しているのが良くわかる、ライバル関係なのは間違い無いだろう。

女子王座戦という名が2人の決戦の場としてぴったりであるが、グランプリも控えているので、ここらで決戦という言葉を使うには少々もったいないくらいである。

直近の調子でいえば佐藤はジャパントラックカップでスプリント日本新記録を出すなど好調は間違いないだろう。

 

※2人はx(旧Twitter)にてスロットの会話で盛り上がるくらい仲良しだった。

 

賞金

昨年は優勝賞金が100万円だったので大幅アップである。

現在の賞金ランキングは激戦であり、400万となると順位に大きな変動がありそう。

 

GGPの行方と共に、女子王座戦初代女王に輝くのは誰だ。

 

 

見どころ 第65回競輪祭【G1】

”本気で獲りたい。そうなると新田さんの番手が一番優勝に近いと思った。”

昨年このコメントを残し、北日本が一致団結し見事優勝した新山。

それにより新山がGP出場、北日本SS4人という最強布陣で挑んだGPはなんと惨敗。

そして迎えた23年。北日本のSS4人はここまでタイトルなし、どころか新山を含む3人がSS陥落の危機である。

グランプリとS級S班をつかむのは誰なのか。最後のG1 競輪祭が開幕。

 

 

競輪祭は競輪発祥を記念して創設された特別競輪でその歴史は1951年まで遡ります。

第65回競輪祭は11月21日から26日までの6日間の、小倉競輪場にてナイターで開催されます。

小倉競輪場の特徴

小倉競輪場は北九州メディアドームにあり、一番の特徴はドーム、屋内ということでしょう。屋内で行われる唯一の特別競輪です。

天候に左右されない

大きな影響は無風ということ、そして気温や走路も一定であり、悪天候での競争はないということだ。

板張りバンク

板張りは軽く、スピードがでやすいので高速化する傾向にある。

さらにカントがきつくても有名で3コーナーからは上りになることと、高速板張りバンクなので外に膨らみやすい。

有利不利な選手の特徴

3コーナーから上りでカントがきつく高速化による外の膨らみをふまえると捲りが決まりずらいでしょう。先行選手の番手がブロックや牽制時にそのまま外に膨らみ最後差せないなんてこともよくあります。

無風、板張りといった大きな特徴を活かせる選手といえばやはり先行選手でしょう。普段の決まり手が逃げの選手は注目です。そして普段先行選手がいかに風を切っているか、風を切ることの偉大さがよくわかるはずです。

さらに、屋内バンクでの戦いに慣れている選手、つまりホームバンクや練習で小倉、前橋、伊豆、千葉を使用している選手や、PIST6に参戦している選手などに注目してみるのも良いと思います。

小倉けいりんマスコット”かねりん”

出走条件

競輪祭ならではの出走条件として

・最低出走が24以上

サマーナイトフェスティバル決勝進出者

・4日制G3の3着まで入着回数上位者

なんといってもG3の競争結果が組み込まれているのは競輪祭ならではの条件であり、大きなレースで結果を残している選手が集まるということは、レースがとても混戦になることが予想されるでしょう。

勝ち上がり方式

初日特選がありません。SSであろうともシードはなく、有利に進めることは許されず、全員が一次予選スタートです。一次予選は2走行い、ポイント制を採用。

一次予選のポイント

このようになっている。予選競争2で好順位を残した方が、良い得点になっている。

二次予選

一次予選のポイント上位9名 → ダイヤモンドレース

 ※二次予選シードとなり9名全員が準決勝進出

一次予選ポイント上位10〜36名 → 二次予選A

一次予選ポイント上位37〜63名 → 二次予選B

準決勝

ダイヤモンドレース出場者9名

二次予選A 1〜4着の12名

二次予選B 1〜2着の6名

決勝

準決勝1〜3着の9名

注目選手

現SSで陥落危機にある新田祐大、守澤太志、平原康多はSS生き残りをかけてこの競輪祭でよい結果を残すしかありません。

新山響平も賞金ランキング9位というところで、10位以下の選手が競輪祭を勝った場合には陥落という崖っぷちの状況です。2連覇達成を狙って頑張ってほしいです。

犬伏湧也

今年G1優出3回と非常に状態が良く、グランプリに名前を連ねても全く不自然ではありません。今年は中四国の松浦と清水がグランプリ出場が濃厚なだけあって地区としても犬伏がグランプリに乗ることと、SSとしてレースすることになれば、来年松浦、清水にとっても非常に大きいのである。犬伏が決勝に乗れば昨年の新山のように”番手犬伏”も十分に考えられるでしょう。

嘉永泰斗

地元九州の若きエース。バンクレコードによる記念優勝に特別競輪で優出など今年の実績は文句なし。地元の声援も後押しするでしょう。

嘉永も犬伏同様、優出すれば”番手嘉永”も考えられるが、九州にはそれをできる自力選手がいないのである。もちろん素晴らしい自力選手はたくさんいるが、自分が前駆けるよ。嘉永を優勝させよう。という余裕のある選手がいないのです…ここが犬伏との大きな違いでしょう。

渡部幸訓

驚いたかもしれませんが、寛仁親王牌3着と実力は申し分なく、直前のF1戦での動きは非常に良く仕上がっていました。ダークホース的な位置付けになっていますが、北日本は選手層が厚く、自力選手も豊富にいるのでチャンスは十分にあるでしょう。

賞金

優勝賞金は4500万円

※昨年は4057万円なので大幅アップということに。

昨年新山が優勝して開催前賞金ランキング9位の清水裕友が逆転されSSとGPから漏れたように今年も逆転の可能性は十分にあります。

決勝は4着まで1000万越えの賞金ということは賞金争いとしても非常に大きい。今現在、圏内の選手でも予選から少しでも上の順位で上積みすることが重要になることでしょう。賞金争いとしても予選から目が離せません。

 

GPに向け最後の戦いが始まります。

 

 

 

 

 

見事、復活脇本 四日市記念【G3】泗水杯争奪戦

今年の8月のオールスターでの落車…それも準決勝勝ち上がりが確定している特選での出来事、代償はとても大きかった。

右肋骨骨折、右肩甲骨骨折、肺気胸という大怪我だった。

ただの復帰ではなく復活した脇本

今年は復帰は厳しいと思われたが、3ヶ月後の11月四日市記念で復帰を遂げた。

アスリート、いや自転車選手の復帰はなぜか早い…根拠はわからないが他のスポーツに比べ自転車選手のケガからの復帰が他のスポーツのアスリートに比べ早いのは気のせいではない気がする。

観衆はもう少し復帰戦のようなレースであると予想していたはずだ、オッズもいつもの脇本という人気ではなかったからだ。

初日

三谷、南をつけ打鐘前から先行、隊列は一列棒状から4コーナーまでほぼ乱れることなく決着…

最後、三谷に差されたものの相手はGP王者3人にタイトルホルダー3人という申し分ない相手にこのレースはもはや復帰ではなく復活と言っていいだろう。

二日目

二日目は捲りで決めた。それも2着に4車身差の一番時計。

初日は特選なのでどんな結果になっても勝ち上がれるので先行、二日目は勝てる可能性一番高いと自身判断した捲りだったのではないかと。本人もレースでどこまでできるのか確かめられただろう。納得はいっていない様子だったが、見てる限りではどちらも問題ないと思えた。

いずれにせよ3ヶ月前に大怪我を負った選手とは思えない強さだった。

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心配すべきは脇本ではない…

脇本の活躍に目を奪われたが、実に深刻な状態の選手がいた。

平原、新田、そして山口拳矢だ。平原、新田の2人は今年思うような結果がでていない。奮起してもらいたところだが…

平原康多

前が先行したにも関わらず、活かすどころか見殺し、そして共倒れだ。これでは平原と同じ番組になった自力選手はハズレくじになってしまう。SSとしても記念の二次予選で敗退するなどあってはならないことだろう。

新田祐大

準決勝でイン粘りを見せてそのまま内に沈むというSSらしからぬ負け方、翌日の負け戦では外を回るも惨敗。

山口拳矢

来季はSSである。記念の二次予選で敗退していい訳が無い。

SSは負け方もSSでなくてはならないし、今以上にマークもされるのはわかりきっている。”単純な強さだけ”でやっていけないのがSSだろう。浅井がレース後のインタビューで「中部の若手に言いたい。僕にでもできることを若手ができないとダメでしょう。」とインタビュアーであった山口幸二氏に言ったのはとても意味深である。

自力で優勝

決勝はGP王者3人が並ぶ。SSは脇本のみ。

脇本に和田健太郎、そして2連覇と地元の期待がかかる浅井。

脇本は南と近畿ライン、和田は坂井洋と即席ライン。浅井は自力でラインの先頭となった。

ここまでの強さを見て初日とは大きく変わり三連単15番人気まで1着脇本が並ぶ強さだったが、各ラインが脇本警戒の中、打鐘まで誘導がいる展開に坂井が誘導を切りホームから先行。脇本が2コーナー終わりから仕掛けるも、これを浅井がしっかり見ていた。合わせるように捲りでて、2センターでは脇本を力尽きさせた。捲りのが自信があったのは今節を見るとわかるが、初日に見せていた先行をした方がラインとしての結果はよかっただろう。事実、番手南は最後方から4着まで伸びている。

3コーナーでは外、先頭に並ぶと直線鋭い脚を見せた浅井が優勝した。最後の脚は地元の力が宿ったのでは?と思うような鋭さであった。39歳自力で地元記念制覇。まだまだやれることはたくさんありそうだ。

中部の若手は浅井に引っ込んでてもらうような強さを普段から示す必要がありそうだ。

分かれたSSの強さ、ピーキングの難しさ

年内最後のG1として競輪祭を迎えるこの時期はピーキングとして直前の開催を欠場する選手が目立つ。ピーキングはアスリートとしてとても難しいスキルの一つである。それでも選手として、SSとしてレースに参戦した選手は、そういう意味では責務を果たしているのかもしれないし、競輪祭が控えているこの時期、どうレースすれば良いのかという苦悩もあっただろう。難しい開催だったのは間違いない。

ケガ明けで復帰しただけでなく強さを見せたSS、二次予選で敗退した、準決勝でらしからぬ負け、いつも以上にSSとしての苦悩が垣間見えた開催であった。

 

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