K5(けーご)の競輪、自転車談義

人生はそろそろ打鐘周回へ…

9枚ある赤パンを1枚”失った”…全日本選抜競輪【G1】

早くも2024年の一発目のG1 全日本選抜競輪が行われた。

優勝賞金は4000万に増額され、売上も目標の95億を大幅に上回る103億を記録し、選手のSNSからも現地の観客の多さに驚いた。などの投稿もあり、競輪人気も増えてきていて非常に喜ばしい。開催も大成功と思われた…

終わりよければ全てよし。という言葉があるが、この開催は逆だった。終わりが良くなかったが為に全てが台無しになってしまった。という印象である…

初日から予選、準決勝と白熱したとても良い戦いだっただけに、非常に残念であった。

優勝は郡司浩平…

準決勝で脇本ともがきあった末に脇本の番手から差し返して勝利し、SS3人をまとめて敗退に追い込んだ北井。唯一の一次予選からの勝ち上がりで、完全優勝にも王手をかけていた。

 

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アスリートとしては遅咲きなのかもしれない。元Jリーガーの119期、34歳オールドルーキーの苦労人である北井のタイトル獲得に期待が集まった。

しかし、北井が強すぎることに加え先行スタイルに、嫌な予感もした…

 

そう、番手の郡司が絶好になるからだ…

 

予感は的中…

北井が先に仕掛け、先行開始。形的に単騎になった新山が叩く。今や輪界を代表する先行選手2人のもがきあい。当然有利になるのは3番手にいる郡司…

こうなると対抗となるのは後ろにいる松谷かその後ろの清水だ。とはいえ清水は5番手。こうなると北井と一緒に勝ち上がった松谷の存在がすごくでかいのである。松谷がいるかいないか、清水が4番手か5番手では全く状況が違う。

 

清水の追い上げは凄まじかったが1/2車輪届かず…

 

応援している選手はいるものの、特別競輪ともなると決勝メンバー9人は激戦をくぐり抜けてきた精鋭たちなのだから誰が優勝してもおかしくはないし、勝った人が強くてタイトルホルダーとして相応しいのだ。という思いはあった。

が、今回に関して言えば、そうは全く思えなかった。

 

 

問題の準決勝12R

なぜ郡司の優勝はこのG1を台無しにしてしまったのか。賞賛に値しないのか…

問題となったのは準決勝である。

松井宏佑の番手郡司、3番手和田健太郎という強力メンバーで挑んだ南関勢。松井が打鐘で先頭に出る。郡司は後方からくる別線を警戒のためか、後方を確認。その時、外帯線を外していたのだ。そのスキを見逃さなかったのは古性だ。内側に入られあっさりと捌かれ番手を奪われたのだ。レースはもう打鐘すぎである…松井は番手に古性がいること、奪われていることを知る由もなく駆ける(レース後、気づかなかったとコメントしている)ラインの勝利の為に。自分がいっぱいになったとしても後ろには郡司と和田がいると思っている…

しかし、後ろには古性、南、村上の別線の3人。なんともいたたまれない状況である。

さらにこの状況にもかかわらず、なんと郡司は位置を下げて捲りに構えたのだ。この時点で松井の勝ち上がりはほぼ消失している。それどころか郡司の後ろにいる和田の勝機も薄くなった。少なくとも郡司よりは薄いわけである。

そもそもG1の準決勝でするような油断でもミスでもないが、番手を奪われたにもかかわらず、位置を下げ、松井と和田の勝機を奪う判断をしたことに驚いた…

100歩譲って番手を奪われたのは仕方がない。古性がさすがだった。としても外併走して番手を奪い返しにいくような姿は見せるべきだったと思う。(郡司が古性、南を相手に外競りで勝てるとも全く思わないが)自分はもう勝ち上がれなくとも前の松井に対して近畿ラインの脚を少しでも削りに行くことや、せめて村上に絡み、和田の位置を一つでも上げるような、あがきもできただろうと思う。

 

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郡司は3着に入り、勝ち上がりを決めたのだ。無論、松井と和田は敗退した…

 

そんな選手が決勝では絶好の番手に位置し、優勝し。来年はS級S班に在籍し、称号である赤いパンツを履くというのだ…

とてもじゃないが今節はS級S班に相応しい走りではなかった。

S級S班とは

 

 

ここで改めてS級S班について熱く語るのであれば、S級S班とは前年のG1勝者、つまり最多でも6人。プラス獲得賞金の上位者の9人しかなれず、見ても分かるとおり選ばれし9人なのである。

単純な速さ、強さ、では務まらない。それがS班なのである。むしろ速さ強さは最低条件なのかもしれない…

ご存じ競輪というのは、ラインがあり、個が強いだけでは成立しない。勝敗に関して言えば展開というものが左右する。勝ち上がり方式の中で勝ちや優勝を期待(約束)されることは非常に厳しい上に、S班は勝ち方でも観衆を納得させなければならない。

逆はもっと厳しい。勝ちを期待(約束)された中で負けた場合、負け方はさらに重要かもしれない。

今回の決勝に関して言えば新山、古性、清水がそうだ。

 

先行逃げ切りで1着で勝ち上がってきた北井の先行を叩いた新山。後ろが即席の番手、浅井であったが為に新山につけれず裸になってしまったことが悔やまれる。

位置の優位差を1/2車輪差まで埋めた清水。スピードはやはりさすがである。

浅井が千切れて、下がってきた煽りを受けつつも最後は勝負にからむ上がりタイム最速の古性もさすがである。

 

川崎記念でも同じようなことを書いたが、現時点で郡司に人々を魅了するような走りができるとは思えない。

G1という注目されている舞台で番手を奪われた代償はあまりにもでかい。当たり前だが今後も狙われるだろう。かといって郡司の自力で番手が勝ったことがあるのも実は少ない…

 

郡司自身も今開催の走りを自身でどう振り返るのか、今後の走りには注目だ。

 

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