K5(けーご)の競輪、自転車談義

人生はそろそろ打鐘周回へ…

京王閣記念【G3】ゴールドカップレース

今年からナイター開催となった京王閣記念ゴールカップレース。

翌週は11月のこの時期のナイターともなると日中との寒暖差、特に夜の冷え込みは選手に影響があっただろう。特に例年S班を走る平原や佐藤慎太郎は調整が難しかったのでだろうか。とはいえこの道20年のベテラン2人。うまく調整するのもプロの業(しごと)である。2人に限らずベテラン勢はこういったパフォーマンスに影響がでそうな場面での調整やベテランがなす業というところで若手との差をつけ勝利する。これもまた注目すべき点であり、競輪の楽しみ方の一つでもある。

初日特選 先行選手としてのプライド

眞杉、平原、佐藤慎太郎、新田と新旧SSが揃い、そこに北井が入ることで眞杉との激しい先行争いが予想された。

レースは予想を超える争い、誘導退避前からバチバチと火花が散りそうな頭突き合いからの先行争い。赤番前4角でつっぱりの眞杉は北井をフェンス際まで押上、番手の松谷を落車(棄権)させるほどだった。※眞杉はこれによる失格

この先行争いを後方で冷静に見ていた福島の3人が抜け出し、番手小松崎が優勝、ワンツースリー福島勢という結果に。

フェンス際まで押し上げられた北井は7着という惨敗…

熾烈な先行争いを繰り広げた2人は初日特選ということもあり勝利や着順というより先行選手としてのプライドの戦いだったのではないだろうか。

レースに負けて勝負に勝つ

こんな言葉があるようにレースでの勝敗を抜きに戦法やプライドを優先し、勝負をするというこの眞杉や北井の姿は嫌いではない。むしろ美しさすら感じる。

もちろん、競輪は博打なので、選手は常に1着を狙って走らなくてはならないが全員が純粋に1着だけを目指して走っていたらラインの概念も薄まるだろうし、競輪の良さも半減するだろう。初日特選は勝ち上がりに関係ないので、レースの中に面白い”勝負”が見られるのも初日特選の醍醐味だ。

とはいえルール違反には賛成できない、眞杉は失格しているのでこの場合はレースにも勝負にも負けたことになる。

二次予選 光るベテランの業

6Rから12Rまでの二次予選はなんと勝者6名のうち5名が40歳オーバーであった。決勝進出者27名に関していえば実に9名も40歳オーバーであったのだ。先日のG1寛仁親王牌の決勝も平均年齢が40歳だったというのも偶然ではない。

競輪選手は他のスポーツに比べ比較的選手寿命が長く活躍できる傾向にある。競輪の仕組みに階級制であったりラインがあることが大きく起因しているとみられるが、G3はおろかG1の決勝に乗るというのは仕組みだけではなく、明らかに力があるという証拠だろう。今競輪界ではベテラン40代がアツいのだ。

スポーツは科学

話は少しそれるが、一般的に20代後半から30代前半がアスリートとしてはピークだが、今40代の競輪選手が活躍できている訳は練習方法などに科学を取り入れているのが大きく関係しているだろう。自転車競技は数力学的な側面が大きく、科学を恩恵を受けやすいスポーツなのである。日本の伝統的な競技などでは未だに根性論などが蔓延っているという話も耳にするが、少なくとも自転車競技日本代表ではフランスからコーチ陣を招聘し、最先端の科学的トレーニングを取り入れている。支部によっては取り入れていないところもあるだろう。もちろんトレーニングに正解はないし、合う合わないがある為、一概にはいえないが、新しいことも積極的に取り入れていく姿勢の競輪界はとても素晴らしいことである。

もちろん科学的なトレーニングで補えない部分もたくさんある。天候や気温などの外的要因やメンタル面のコントロールなど経験値をもってこそベテランのなせるコンディショニングという業である。今節はこの要素がうまく合わさって結果として出た二次予選だったのかもしれない。

準決勝 若手も台頭

ベテラン勢だけの活躍ではなく、準決勝では若手の台頭も目立った。

藤井侑吾、中釜、晝田の3人が準決勝で1着になり20代前半の3 人が決勝に乗った。中釜は記念初の決勝進出から決勝も3着に入り2024年の競輪祭の出場も手に入れる活躍であった。

決勝 終わってみればSS福島勢支配

SSラインの福島勢のワンツーが決まり、初日特選と決勝と福島勢が支配した京王閣記念であった。

今節はレースというより、譲れないプライドや己との戦いが垣間見えた開催であった。生身の人間が走るからこそ見える人間模様や感情、己の肉体との勝負。これもひとつ競輪の良さなのである。

 

そんな競輪のよさを魅せてくれた開催であった。

 

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