K5(けーご)の競輪、自転車談義

人生はそろそろ打鐘周回へ…

シマノクランクリコール!シマノの責任なのか?今後は…

23年9月21日(日本時間で22日)シマノ製クランクがリコールを発表。

 

業界に激震。というより消費者に激震。といった方が正しい表現かもしれない。というのも一部自転車ショップや有識者の間ではシマノが曰く付きというのは密かに囁かれていたという話も。シマノといえば自転車界のインテル。なんて呼ばれ日本だけでなく、世界視点でも見ても業界の雄であり、さまざまな忖度や力や働いていたとしても驚きはない。しかし今回のそれが裏目に出てしまった可能性はある。

アメリカ、カナダで76万台、世界で約280万台のうち4519件のクランク破断、分離の報告があがっていて、そのうち6名が骨折などの負傷を負ったという。

CPSC

今回のリコールに至った経緯はアメリカのCPSCによる発表であった。

CPSCとは危険な商品の排除を目的とし、監視・監督のための消費者製品安全委員会であり大統領直属の行政機関である。

アメリカは消費者が強く、今回のように消費者の指摘により企業側が煽られるケースも珍しくない。

 

対象モデル

2019年6月30日以前に製造されたもので2012年1月から2023年8月までに販売されたものが対象ということ。

対象モデルと対象の製造刻印モデルについてはシマノ公式ホームページで確認できる。

 

アメリカ・カナダの計76万セットが対象とのことだが、今後他の国でも同様の発表がされると予測され、世界的な大規模リコールになるとみている。

 

大規模リコールから大問題に発展⁉︎

さらにこのリコールにはさまざまな憶測をよんでおり、他の問題にも発展しかねない状況となっている。

リリース内容の違い

CPSCではシマノ正規ディーラーにて検査を行い、クランクセットに接着剥離または層間剥離の兆候が見られた消費者にのみ、無料で交換用のクランクセットと取り付けが提供されます。となっている。まさにリコールそのものである。

ステルスリコール?

一方、日本では正式なリコールではなく、あくまで無償点検という位置づけになっていて、対象製品を無償にて点検させていただき、点検の結果、交換が必要と判断された場合は、無償交換をさせていただきます。交換の必要性が確認されなければ、そのままご使用いただけます。ということだ。事実上リコールなのは間違いないとは思うが、事故の報告やケガ人がいないからなのか?

経済産業省のリコール情報にも未だに載っていない。

しかし冷静に考えてみてほしい。全世界11年間で280万台中、4500件の故障、6件の事故だ。

アメリカカナダの76万件中だけだが、故障の確率を見ても0.59%、事故の確率は0.078%。繰り返すが11年間でだ。これをどう捉えるか。

果たしてシマノだけの責任なのか?

11年間で4500件の故障があったとはいえ、11年前の製品に今更リコールということについてはいくつか疑問もあるのは確かだ。

新品で購入して使用歴もさほどない中で破断したのであれば製造元の問題が考えられるが、それなりに使用期間があったのであれば考えられる原因はいくつもあり、メンテナンス一つとっても原因としては十分考えられる。SNSでも有識者がそれぞれの意見を述べている。

バイクの水洗い

ロードレースではメカニックが選手のバイクを水洗いするのシーンなどもよく見られます。しかし自転車はやはり大部分は金属部品で構成されているし、昨今では電子機器類も換装されていることもあります。クランクのような中空部分への入水はリスクを高めることは明白です。

パワーメーター導入による弊害

パワーメーターが一般のレーサーにも普及するようになり、パワートレーニングが一般的になりました、中にはパワー第一主義のような方も少なくありません。とにかくパワーを出すことが目的になっている人の多くはクランクへの入力の仕方によってはクランクへの負担が大きかったのかもしれません。

バーチャルトレーニングの普及

コロナ禍もあり、ZWIFTをはじめとするローラー台とパワーメーターを使用したトレーニングの普及が一気に広がりました。ローラー台での高出力はフレームやクランクへの負担はわからないが、昨今自身のフレームを使用しないトレーニング用バイクも発売されているということは少なからず影響は考えられるだろう。

レース機材という認識

そして何より共通して言えることは、今回の対象モデルはどれも上位グレードのクランクだ。そう、あくまでもレース機材ということである。シマノの設計思想がどうなっているかはわからないが、レース機材というのはレースを走り切った上での最良のパフォーマンスが求められている。つまりレースを走り切る上での最低限の耐久性であるということも考えられる。ちょうど該当するクランクは5アームから4アームへとクランクの常識が変わった転換点でもある。この軽量化をどう捉えるか。

プレミアムな商品(競合がある中での上位)であり、ラグジュアリーな商品(競合がいなく品質というより贅沢品)ではないのかもしれない。

今後は消費者もそういう視点を持つことが大事かもしれないし、シマノはそういう発信をしていかないといけないのかもしれない。

 

競輪で使用されるシマノクランク

かねてより伝えているがロードレースは広告の意味合いがとても強いレースなのでそういった側面からも今回の件は起こってしまったのかもしれませんし、シマノとしても広告とレース機材の両立が難しかったのかもしれません。

今回のクランク破断の原因の一つとされているクランクの接着部の乖離であるが、接着部が少ない(もしくはない)競輪で使用されるシマノのクランクを紹介しておきます。シマノの擁護になれば良いが、競輪で使用が認められているシマノのクランクは無骨であり、かつレース機材の根源でもある無駄を排除した様を表したまさにレース用のクランクである。世界でもトップレベルのプロ、日本の競輪選手数千人が毎日凄まじいパワーで踏んでいるが破断したことはあるのだろうか。

シマノ FC−7600

王者シマノにうまれたスキ、シマノの未来

自転車界のインテルと言われ、業界では王者として君臨し続けていたシマノですが、日本国内ではシマノに対し業界内での過度な忖度があったのか?消費者はシマノへの絶対的な信頼があったか。いずれにせよアメリカからの指摘で発覚したということは、シマノとしても日本としても恥ずべきこととして捉えて信頼回復し、再起をしてもらいたい。一部の噂ではシマノの技術者がスラムへ移籍しているというのも耳にする。本当かどうかわからないが、スラムの勢いが今あるのは間違いない。シマノがトップブランドとして存在していたのはもうすでに過去のことなのかもしれない。

ものづくり大国日本の象徴としても、世界トップブランドとして君臨し続けてほしいと願うばかりだ。