K5(けーご)の競輪、自転車談義

人生はそろそろ打鐘周回へ…

小田原記念【G3】施設整備協賛小田原城下町音頭杯

来週に迫ったG1 寛仁親王牌があるため今節はいわゆる裏開催となった小田原記念である。

当たり前だが裏開催のため、S級S班はおらず斡旋メンバーはいつもと比べ見劣りする一方で、誰にでも記念制覇がしやすくなり、実力はG1クラスでありながら漏れてしまう選手が勝ちやすくなるのもこの裏開催記念の見どころである。

今回でいえば初日特選メンバーにも選ばれている北井佑季、宿口陽一、大森慶一、松坂洋平といったところでしょう。中でも地元神奈川の北井はこのメンバーの中でも名実ともに頭ひとつ抜きんでている印象だ。宿口なんかは去年S級S班で赤パンを履いていたわけなので、本来はここで走るべき選手ではないはずなのです。

初日特選

小田原の33バンクに北井の先行力を持ってすれば、4日間勝利の完全優勝もあり得ると思った矢先、裏開催とはいえG3はそう甘くなく初日は番手どころか3番手にも差されラインで決着とはいえ、北井にとっては苦い結果となった。

初日特選で動きが良かったの松坂だろう、北井の先行についていき、車間を開け後方確認、牽制、最後は北井を差して1着というところで落ち着いて動けている印象があった。

準決勝

二次予選を順当に勝ち上がった北井と松坂は準決勝最終レースでも同じになり連携をする。初日特選同様、北井の先行ついていき最終周回では車間をあけ、後方の別線の動きをチェックする松坂、そして牽制したところ5車の落車を誘発し、1着入選も失格となる。

決勝

3−1−1で決勝にのった地元北井に対する期待は大きく、1番人気となった。別線の自力と単騎では北井とやり合うのは勝ち目がなさそうなので実質、先行1車というような状況であるのも人気を後押しした。

レース序盤は北井のペースで、叩きにくるラインもなく、北井自ら誘導をきるほどだった。最終バックまで北井の先行で進んだが、4番手宿口の捲りが決まると同時に北井は後方に沈んだ。

絶対的な人気が裏目となり、この決勝では3連単30万車券であった。

地元ラインの敗因

北井の自滅

決勝での神奈川ラインの敗因はいくつかある。まず後続が来ていないのに誘導を北井が自ら切ったこと。地元と期待からのプレッシャーに焦ったか。もしくは周回誤認があった可能性もある。もう少し誘導を引っ張り脚を溜めるべきであった。

番手大塚の役割

そして番手の大塚だろう。他地区の大森が3番手なのは仕方ないが、まだ大森が番手に入った方が北井としては良い結果になったのではないだろうか?

最終バックで宿口が上がってきた際、牽制などをしているように見えるが全くもって消極的であった。元S級S班の宿口は昨年熾烈なメンバー相手にレースをしてきているので、あの程度の牽制じゃ止められないだろう。

豊橋記念で見せた松本のブロックとまでは言わないが、絶対に前に行かさない。という気迫が感じられるブロックや牽制はみていて”競輪”を感じる瞬間でもあり、ラインの強さが出る瞬間だ。これが今回地元神奈川のラインもとい大塚にはなかった。

先行には強力な番手が必要

徹底先行でSSの地位にいる新山ですら、番手が貧弱な場合、喰われることは多々ある。新山の先行は佐藤慎太郎、守澤太志、成田和也という強力な番手がいてこそなのである。皮肉にも北井の初記念制覇の時の番手は佐藤慎太郎であるが、南関にも和田健太郎やこれからの番手として楽しみな深谷と郡司がいる。

今のところ番手を必要としないのは脇本と犬伏くらいしか思い当たらない。しかし番手を必要としないのが良いというわけではない。やはり競輪はチーム戦なのである。

競輪はライン戦(チーム戦)

今回は30万車券が飛び出したわけだが、競輪の良さはここにある。

今回のように個の力が強くても、番手が機能しないが故に負けてしまうこともあり、逆に個としての力が物足りなくてもラインとして機能すれば、強い相手を負かすことも十分に可能なわけであるが、毎回同じ連携を組むことが許されておらず、その時々の勝ち上がりや巡り合わせで力が変動するところに競輪の深みがある。

 

そして今回は番手が大塚ではなく、松坂であれば結果は大きく変わっていただろう。

 

youtu.be