K5(けーご)の競輪、自転車談義

人生はそろそろ打鐘周回へ…

熊本記念in久留米【G3】火の国杯争奪戦

2016年の熊本地震で損傷した熊本競輪場が休催して早7年の年月が経ち、その間、久留米で行われていた熊本記念ももう今年で最後。2024年からは熊本競輪場がかえってきます。

7年という長い年月を要した。震災に見舞われると復興するのに時間がかかるというのがよくわかる。※熊本財政のために、これからも皆で車券を買って復興や社会に貢献しましょう^^

2016年以降に選手になった熊本所属の選手(109期以降)には熊本競輪場を知らない選手もいるのだ。S級でいえば、瓜生崇智(109期)上田尭弥(113期)嘉永泰斗(113期)松岡辰泰(117期)伊藤旭(117期)松本秀之介(117期)などである。

優勝は地元中本。三番手から嘉永を差す

熊本勢4車ラインからの二段駆け、いや嘉永が2着になっているので実質、三段駆けによる中本匠栄の優勝で幕を閉じた。中本というより、番組屋も含めて熊本勢の勝利だろう。

相変わらず、二段駆けが起こると論争が起きるが二段駆けについてはここのところ連続して書いてあるので参照。

k5keirin.hatenablog.com

 

k5keirin.hatenablog.com

二段掛けの論争に新しい議論が生まれていたのでここでも少し触れておこうと思う。

先頭誘導員の速さと先頭誘導員早期追い抜きの罰則の重さである。

まず速さは先頭誘導員の速度自体が速すぎるため、切りに行くだけで脚を使う。というもの。

誘導員追い抜きは4ヶ月斡旋停止という重い罰則があるため。というもの。

これは着眼点としてかなり良いので、別の機会に記事にしてみようと思う。

落車、失格、敗退の波乱続き

初日

S級S班5人と地元エース嘉永が入った初日特選では、大激戦が予想されたはずが、なんと守澤の斜行による嘉永の落車と守澤の失格である。

3日目

大怪我から復帰の松浦は本調子ではないのだろうが、調子ではなく新山の巧みなレース運びにより敗退してしまう。まだ調子を落として敗退する方が精神的ダメージが少なそうであるがどうなのであろう。

なんと古性も準決勝敗退。初日特選では落車が絡んだとはいえ確定板にこないのは、らしくないと思ったが、悪い予感は的中。準決勝では赤板すぎ、打鐘では8番手に置かれる苦しい展開からなんとか捲りあげようとしたところに新田康仁の好ブロックに阻まれた。負け戦でも地元中川誠一郎に勝利を献上してしまった。寛仁親王牌に向けて不安の残る内容であった。

決勝

熊本勢4車並びの上に嘉永が1番車という絶好の車番でSS新山率いる北日本3車ラインも全く歯が立たず、単騎のSS郡司も熊本の後ろ5番手から3着に入るのが精一杯であった。

嘉永がスタート直後に出遅れたのか?中本と菅田が速いのかはわからないが、菅田がとっていれば少しは変わった展開になっていたのかもしれないが、Sも4人のうち誰かがとればいいというわけで数多くいるのが有利に働いた。結果的にSを取った中本は自ら優勝を手繰り寄せたことになった。

番組屋の力

決勝の9名に熊本の文字が4つ並んだ。九州ではなく熊本だ。地元記念で地元地区が4人並ぶことはあるが、同県で並ぶのはなかなか難しい。

これは地元記念を成功させたい番組屋の功績もある。みていても感じることが多々あったので調べてみたら以下の通りであった。

初日勝利者 12人中5人が九州(うち3人が熊本)

2日目 12人中0人

3日目 12人中3人が九州(うち1人が熊本)

最終日 12人中7人が九州(うち6人が熊本)

48人の勝利者のうち15人が九州(うち10人が熊本)である。これからわかるように確かにゴール線は中本が最初に切ったのかもしれないが、ここまで熊本一丸となって勝ち取った熊本記念は、もはや熊本全員の勝利と言ってよいだろう。

地元エースとしての自覚、プライド、そして世代交代へ

そんな地元勝利を心から喜べていない地元選手がいるはずだ。

そう、嘉永泰斗である。

嘉永のコメントは開催とおして並々ならぬ闘志と気迫を感じるものがあった。初日特選落車後「地元でなければ欠場している」決勝前「今年の力を使い切る気持ちで優勝狙う」と、かなり気合の入った様子。

嘉永にとって熊本記念とはG1クラスなのかもしれない。いやアスリートとしては狙った勝負にピークを持っていくピーキングをするのであるがG1ではなくG3に合わせていたらそれは正直、疑問符だ。寛仁親王牌嘉永の成績に注目。

とはいえ、コメントや走りの裏には熊本は自分が引っ張るんだ。という自覚とプライドが見えた開催であった。熊本には中川誠一郎という絶対的存在がいたが、世代交代を宣告する嘉永の走り、コメントだったのかもしれない。これは頼もしいし、楽しみだ。

おわりに

熊本121期の東矢圭吾は連日とてもよいレースをしていた。最終日にはかなりキレのあるカマシで伊藤旭(熊本117期)の勝利をお膳立て自身も2着に入る活躍。

ルーキーシリーズで見せた弱冠二十歳の佐藤と半田(共に熊本123期)も地元ということで力の入ったレースと連携をみせていた。もちろん戦術やフィジカル的な話ではない。地元記念のルーキーシリーズで先輩たちを勢いづけられるか。などは今後、地区として絶対活きてくるだろう。

熊本競輪場が新しくなり、熊本競輪場を知らない熊本勢、嘉永を筆頭に若手で24年の熊本記念を獲ってほしい。

今年よりはるかに地元熱は高まるだろうし、地元選手も今年以上に気合が入ると思うと今年以上に熊本勢力の圧勝なのではないかと思う。嘉永悲願の地元記念制覇へ

youtu.be